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quanto/comeの使い分け


文法マニアの入口

質問→comeとquantoの使い分けを教えて下さい.ある日本語証明書を伊訳した時に,come suddetto だったか come sopra だったか忘れましたが,そう書いたら,イタリア人上司からquanto sopraと直されました.イタリア商業文を読んでいても,けっこう quanto は登場しますが,私はいまいち,どう使い分けるのかわかっていません.

答→quantoは品詞で言うと形容詞,副詞,関係代名詞,名詞といろいろあって,辞書なんかを見るとうんざりしてきますが,意味から見て非常に大雑把にいうと,

A. 疑問がらみ(どれだけ)
B. 感嘆がらみ(なんと!)
C. 関係節がらみ(〜なこと)
D. その他熟語 (in quanto, per quantoなど)

の4つに分類できますが,ここで問題になっているのはCの意味だと思うのでそれについて解説し,Dの熟語についてもちょっと考えて見ます.

Cの意味は「〜すること・もの・量」です.Enciclopedia Zanichelliから例を引くと...

1. Di cio` che non da` o produce quanto si vorrebbe. (avaroの項)
必要なものを与えない(作らない)様子
2. Ritenere vero quanto affermato da altri. (credereの項)
他人の言ったことを本当だと思うこと.
3. Chi risponde giuridicamente di quanto viene pubblicato in un giornale. (direttore responsabileの項)
新聞に書かれていることに法律上の責任をもつ人.
4. Che vale molto di piu di quanto si possa pagare. (impagabileの項)
払える量(金額)よりもずっと値段が高いこと.
この quanto は文法的に言えば「先行詞を含む関係代名詞」で,quantoから始まる節は名詞扱いになります.だから主語・直接間接補語・前置詞の補語など名詞が使われうるあらゆる場所に登場することができます.

さて問題のcomeとの違いですが,comeの場合は(接続詞として)「〜のように(〜なような方法で)」の意味があります.

5. Fai come vuoi.
好きなようにしなさい.
6. Lo guardava come fosse un Dio. (Devoto&Oli il dizionario della lingua italiana からの例)
神であるかのように(彼を)見ていた.
このcomeではじまる節は副詞扱いです.だから主語・直接間接補語・前置詞の補語などになることはできません.

おそらく質問の中にある,come sopra を quanto sopra に直された,というのは,そのへんがからんでいたのではないでしょうか.

come sopra も quanto sopra 日本語に直すと「上(述)のとおり」となってしまって違いがわかりませんが,come sopra のほうは副詞,quanto sopra の方は名詞です.違いをあえて出そうとすれば後者は「上述のこと」となります.だから,

7.a. In risposta a quanto sopra esposto (Zingarelliからの例)
上に言ったことの返事として
7.b. *In risposta a come sopra esposto と言うことはできません.

最後に上のDのquantoの入った熟語について

(tanto)... quanto... 〜と同じくらい〜(同等比較)
in quanto + 名詞 〜として
in quanto + 形容詞 〜なものとして / 〜なので
in quanto + 節 〜なので
(in) quanto a + 名詞 〜に関して
per quanto + 節 〜に関して / 〜にもかかわらず

といったような熟語があります(これは主要なものとその主要な意味だけです).全体に硬い表現で,いかにも商業文に多く出てきそうな感じですね.


付記1:坂本鉄男『現代イタリア文法』(白水社)p.175 には,quantoは「〜なことすべて」の意だと書いてありますが,かならずしもそうではありません.「すべて」の意味が入るときと入らないときがあります.

付記2:上の2の例のように,quantoのうしろに動詞なしで,過去分詞がくることも多いようです.

付記3:意味的に言うと,quantoは「量」に関係していて,comeは「方法」に関係しています.その違いで使い分けることも多いと思います.

付記4:quantoには「〜する限り」の意味もあります.これは文法的には関係副詞と呼び,quantoで始まる節は副詞扱いになります.

Studiero` quanto posso. (出来る限り勉強します)

Studiero` come voglio. (好きなように勉強します)

付記5:comeには「〜する方法」の意味で先行詞を含む関係代名詞的に使われることも,稀にあります(「di come 節」「per come 節」などの形で).


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